高所綱渡り師たち 残酷のユートピアを生きる

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[2025年4月/A5/256頁/] 
著=石井 達朗 
発行=青弓社


目次:
第1章 ロープの上の途方もない可能性
1 ロープ上で観客を魅了する幼女
2 代役がセンセーショナルな人気を博す
3 婚外子を出産、そしてナポレオンと出会う
4 土砂降りのなかでロープを……-ロンドンっ子の驚きと称賛が止まらない
5 「マダム」と「マドモワゼル」、二人のサキが出現
6 満身創痍で芸を続ける-壮絶なる晩年


第2章 ブロンディン-綱渡りの代名詞になった巨人
1 天才少年、波瀾万丈の日々
2 歴史に残る「ブロンディン」はアメリカで誕生した
3 ついにその日がやってきた-ナイアガラに挑む
4 ナイアガラでの前代未聞の行為の数々
5 ダブリンで、作業スタッフの事故死を経験する
6 母国フランスに錦を飾れないのは「重婚」が原因か
7 オーストラリアでも衰えを知らない技を見せる
8 六十代半ばでニューヨーク公演、そしてロンドンのついのすみかへ


第3章 「ブロンディン」を名乗り、ブロンディンに挑む
1 自他ともに認める「オーストラリアのブロンディン」とは
2 少年を巻き込む二つの悲劇
3 「オーストラリアのブロンディン」を名乗る男の無鉄砲なパフォーマンス
4 ナイアガラで生まれた男のナイアガラ挑戦


第4章 体でジェンダーイメージをくつがえす女たち
1 サーカスが、女が自由を手にできる数少ない領域だった
2 セリーナ・ヤング-最初の「女ブロンディン」
3 セリーナ・パーウェル、またの名をマダム・ジュヌヴィエーヴの痛ましい墜落死
4 ナイアガラを渡った歴史上ただ一人の女性


第5章 当代最高の綱渡り師だった男の数奇な行路
1 桁外れの情熱に突き動かされた人生
2 ブロンディンに真っ向勝負を挑む
3 「ストロングマン」の桁外れの身体能力
4 初めて公衆の面前で綱渡りを披露する
5 バランス棒なし、素手でワイヤーを歩く
6 ナイアガラ-運命の日がきた
7 よきパートナーに起こった悲劇
8 放浪、そしてふたたび挑戦への情熱に駆り立てられる
9 綱渡り師から本格的な興行師に
10 業界を震撼させるルルは、少年なのか少女なのか
11 アフリカの砂漠を縦断する大冒険、そして晩年


第6章 勇気と実力で時代を走り抜けたザゼル
1 天性の才能と特訓による無二のアンファン・テリーブル
2 ザゼル誕生前夜
3 十五歳の少女の常識を超えた芸とは……
4 天才少女にも事故は起きる
5 それでも危険な人間大砲を続ける
6 大いなる転機-イギリスからアメリカへ、そして結婚
7 度重なる事故を生き延びる
8 伝説の女性を再起不能にした最後の事故


第7章 栄光と悲惨-綱渡り一族の壮大なる歴史
1 語り伝えられる墜落事故
2 伝説の綱渡り師カール・ワレンダの起源
3 サーカス団が馬車で移動していた時代
4 女性関係
5 ヘレン・クライス-願ってもない新星が現れる
6 先妻マーサと後妻ヘレン
7 大サーカス団専属の獣医師を務めた男
8 夫と父の墜落死を乗り越える-頭領の娘ジェニー・ワレンダ
9 八十代でアクロバットを見せるカーラ・ワレンダの華々しい生涯
10 最愛の弟の墜落死-どうして安全対策をしないのか
11 綱渡りのレジェンドの墜落死
12 落下死の本当の原因はどこにあるのか
13 ワレンダ一族存亡の危機-ニック・ワレンダはそれを救えるか


第8章 偉業か、狂気か-SNSの時代にあえて仕掛けるワレンダ一族の末裔
1 サーカスで生活する者たちの窮状
2 悪夢のような「七人のピラミッド」を復活する
3 さらなる限界に挑む-八人のピラミッドは可能か
4 まるで復讐のような挑戦
5 ナイアガラ滝で、最も難しい挑戦をする
6 これはもはや「狂気」でしかないか-グランドキャニオンへの挑戦
7 存在を揺るがす大事故が起きた
8 奇跡的な復活


第9章 完全なる犯罪-創造する者はアウトローでなければならない
1 フィリップ・プティという生き方
2 私的サーカス体験-綱渡り以前
3 フィリップ・プティを知る
4 ポール・オースターが、パリでプティを見ていた
5 世界貿易センターでの「行為」が解き明かされる
6 ヨーロッパでやっていた数々の冒険
7 真っ青な空のもと、シドニーのベイ・ブリッジで……
8 徹夜で人知れずおこなう仕事は過酷である
9 「共犯者」がいなければ綱渡りはできない
10 すべてを見ていた謎の訪問者
11 決行のとき
12 ポール・オースターとの親交
13 「地上最大のショー」の巨大サーカス団で一年、仕事をする
14 その後のプティ-故郷パリに錦を飾る
15 危険は敵ではない


あとがき-いまなぜ綱渡りなのか

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