令和ファシズム論 極端へと逃走するこの国で

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[2025年8月/四六判/360頁/] 
著=井手英策 
発行=筑摩書房


目次:
はじめに 
私だけが不安なのだろうか?
財政史というメスで社会を解剖する
「ポピュリズム」で終わらせない
日本社会は右傾化したのか
同時におきていた左傾化
評価するための基準を
伝統主義Aと伝統主義Bのたたかい
肯定的な未来に居場所を


第一章 歴史の転換点ではなにがおきるのか?
1 混同されるファシズムと全体主義
ファシズムという言葉
混同されたファシズムと全体主義
異なるものを等しくあつかう
「あいつ」と「私たち」
現実味のないファシズム
すべてがかわってしまう
ファシズム的な状況について考える


2 家族のふたつの顔-時代の方向感覚をもつ
社会保障の発祥の国・アメリカ
国民の家・スウェーデン
もうひとつの顔
「私たちの必要」という財政の本質
どこにいるのか どこに向かうのか


第二章 昭和恐慌からの脱出と高橋是清の苦闘
1 昭和恐慌の衝撃と不安定化する社会
蔵相・井上準之助の理論
不幸が重なった金解禁
疲弊した農村と都市の人びと
民主主義と社会主義への反動
陸軍青年将校たちの憤慨


2 積極財政への転換
高橋財政の独創性
財政と金融の一体化、錯綜する利害関係


3 決定権限の集中と政局にあけくれる人びと
日本財政の最後の守護者
政争を繰りかえした政友会と民政党
皇道派と統制派の対立
軍部の分断、政党との連携
内閣機能の強化
高橋のリーダーシップがまねいた軍部の怨念
ある政治家に任せる、ということ


第三章ファシズムへの道程でなにがおきたのか?
1 不安定化する経済、貧弱な生活保障
井上はなぜ理論に固執したのか
高橋財政の評価
所得と地域間、ふたつの格差
人びとの生活をどのように保障するのか
日本社会の根底にあった「惰民観」


2 民主主義の後退か? 不自由への逃避か?
「呉越同舟」という分断の論理
社会保障をめぐる女性の運動
高橋と社大党の共通性
批判より対案、政策よりも権力
力を発揮した官製の国民運動
日本精神へと接続した共同体主義
都市部における労働運動の状況
「ファシズム前夜」におきていたこと


第四章 ファシズムの条件をさぐる-ドイツとの対比から
1 第一次世界大戦の敗北がもたらしたもの
ヴェルサイユの屈辱とハイパーインフレーション
一党独裁を成し遂げたドイツ
一網打尽にされた中間団体


2 雇用創出から軍備拡張へ
恐慌からの脱出と緊縮財政
中央銀行にたよった複雑な財政運営
中央銀行への依存とその経済的、政治的、社会的合理性
財政の「質」から「量」への転換
充実していたドイツの社会保障
分断の道具としての財政


3 憎しみが憎しみをよぶ呉越同舟の政治
社会民主党と共産党の対立
ヒンデンブルクと大統領緊急令
シュライヒャーの暗躍
パーペンの意趣返し
ファシズムという均衡


第五章 強まる将来不安、崩れ落ちる民主主義
1 経済の衰退と社会の分断
疲弊する中間層
「分断社会」という言葉の意味を考える
社会保障の根底にあった通俗道徳
つよまる憎しみと嫉妬


2 崩壊する財政規律、よわりゆく予算統制
中央銀行への依存
高橋財政と現代の決定的なちがい
防衛費とインフレ対策
普遍主義の広がりをどのように評価するか
「一〇三万円の壁」から本当の問いを透視する


3 あとずさりする財政民主主義
予備費を使いきり、穴うめする
見えない債務、見えない基金
やせおとろえていく「自治」
MMTが見落としているもの
誤解される財政民主主義


4 混迷をふかめる政治と社会
「野党共闘」が意味するもの
〈小さな権威主義〉の登場
内閣人事局と政治的リーダーシップ
参加と強制の分岐点
中庸の道をさがしつづける努力
問題の複合性と私たちの態度決定


終章 エクストリーミズムをのりこえる
「ファシズム前夜」からみた日本のいま
負の均衡としての〈ぼんやりとした不安〉
参加からつぶやきへ
広がるエクストリーミズム
ポピュリズムとエクストリーミズムの結合
自由と民主主義を調和させる
財政の危機、社会の危機
互酬と再分配からなる財政
なぜ税金は重要なのか
ライフセキュリティをなぜ提唱したのか
高橋是清の復活か、社会を成長させる公共性の再生か


あとがき

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