戦争と占領の日本映画史 歴史の「闇」を捉え返す
[2025年10月/四六判/416頁/]
著=紙屋牧子
発行=青土社
目次:
はじめに-「闇」をまなざす
第I部 隠された欲望
第1章 日清・日露戦争後の大衆文化におけるサディズム
マゾヒズムの表象
-継子いじめ譚『五郎正宗孝子伝』(1915年)を起点に
第2章 戦時下のホモソーシャル
-長谷川一夫と古川ロッパの、「男」の生きる道
第3章 占領下のホモソーシャル
-長谷川一夫と古川ロッパの、「傷」だらけの男
第II部 「闇」の女たち
第4章 1948年の機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)
-占領下の日本映画における「闇」の女たちの表象
第5章 「聖」なる女たち
-「母もの映画」に刻まれた占領の影
第6章 占領期の田中絹代と小津安二郎
-『風の中の牝雞』と『宗方姉妹』の描く「暴力」の意味を捉え返す
第7章 ポスト占領期における男性・女性の闘争
-『やっさもっさ』(1953年)と「講和」
第III部 明朗という「闇」
第8章 出征兵士を送る妻の「涙」の表象をめぐって
-『ハナ子さん』(1943年、マキノ正博)の多相性
第9章 なぜ「明朗」なのか
-1939年の映画『鴛鴦歌合戦』と『春秋一刀流』の連続性
非連続性
第10章 エノケンの身体表象にみる相克
-『孫悟空』(1940年)における(反)全体主義
第IV部 歴史の「闇」
第11章 冤罪事件へのシンパシー
-マキノ雅弘監督『次郎長三国志 第九部 荒神山』(1954年)の異様さ
第12章 時代劇映画の1968年
-『祇園祭』(山内鉄也監督)をめぐる論争と伊藤大輔のイデオロギー
あとがき/初出一覧/注/参考文献/図版クレジット/映画題名索引/人名索引
