現代思想2022年6月臨時増刊号 ウクライナから問う
[2022年5月/菊大判/382頁/]
発行=青土社
目次:
【声】
ブチャの後で | ユーリィ・アンドルホヴィチ/加藤有子訳
【ドキュメント】
困難な戦争避難も次には慣れていく – あるウクライナ在住者の記録 | アベル・ポレーゼ/石岡丈昇訳
【討議】
戦争とアイデンティティの問題 – ロシア史・ソ連史のパースペクティヴ | 塩川伸明+池田嘉郎
【境界の歴史】
20世紀初頭のウクライナ・ナショナリズムとロシア・ナショナリズム – 「独立説」と「一体説」の系譜 | 村田優樹
埋葬されない帝国の記念碑 – ウクライナ戦争と境界の消失 / 平松潤奈
実体化する境界 – 「ロシアーウクライナ」の二項対立の図式をめぐって | 中村唯史
割れた洗礼盤 – 「ロシア世界」という想像の共同体とその終焉 | 高橋沙奈美
ウクライナの隣人としてのポーランド – 戦後ポーランド知識人の思想と行動から辿る二国間関係 | 中井杏奈
【何が起こっているのか】
ウクライナ文化の危機の本質 – 侵攻の口実にされた「文化」と時代錯誤の植民地主義 | 加藤有子
未来なき社会はおぞましい夢を見る | 白井聡
「解放」という名の侵略 | 岩下明裕
ドンバスの保護、ウクライナの脱ナチ化 – 露ウ戦争の目的と矛盾 | 松里公孝
ロシア語を話すユダヤ人コメディアン VS ユダヤ人贔屓の元KGBスパイ | 赤尾光春
ロシアによるウクライナ軍事侵攻は道徳的に正しいのか? | 眞嶋俊造
【〈大国〉の実相】
疑念の文化 | サーシャ・フィリペンコ/奈倉有里訳
キエフの聖職者が作ったロシア国家像 | 下斗米伸夫
イデオロギーと暴力 | 乗松亨平
「ドゥーギン=陰のメンター」説を解体する | 浜由樹子
地政学か、普遍主義か – ロシアとドイツ右翼の共同戦線? | 大竹弘二
「新世界秩序」陰謀論と「第三のローマ」としてのロシア | 辻隆太朗
ロシア的身体 – 映像の中の君主たち | 畠山宗明
【表現の/と政治】
「プーチン政権は最終章に入ったと思います」ボリス・アクーニン、戦争そして「本当のロシア」を語る | ボリス・アクーニン/ジェシー・ケイナー(聞き手)/ターニャ・ミツリンスカヤ訳
アート・廃墟・再生 – ウクライナとロシアの美術界の現在 | 鴻野わか菜
ロシア知識人の苦悩 – カインは何度アベルを殺すのか | 沼野恭子
フェミニストはなぜ戦争と闘うのか | 高柳聡子
混沌から分断へ – 現代ロシアの文学と政治 | 松下隆志
【冷戦という時空間】
ソ連/ロシアの宇宙開発の国際政治上の意味 | 鈴木一人
“原子力国家”ソ連とウクライナ | 市川浩
プーチンが踏みにじる“古き良き“ソ連 – あるいは、ウランバートルとキーウとモスクワをつなぐ文化圏の終焉 | 島村一平
【深層と周縁へ】
ユーラシアの臨界点 – ウクライナ危機に寄せて | 福嶋亮大
キエフとモスクワのあいだ – 前近代アフロ・ユーラシア史からの視界 | 諫早庸一
色褪せた規範のゴミを紛争地に捨てるな | 酒井啓子
シリアとウクライナ – 大国間の「代理戦争」がもたらす悲劇 | 青山弘之
【いま〈戦争〉を問う】
ウクライナ戦争の背景 | マウリツィオ・ラッツァラート/杉村昌昭訳
再領土化(バックラッシュ)の地政学的衝突という悲劇 – ウクライナ危機をめぐる錯視について | 土佐弘之
自由と平和を呼びかける〈声〉とその射程 – 中心と周縁について再び考える | 五野井郁夫
肉体、領土、男性国家 – 戦争における物質性の復権 | 海妻径子
ウクライナ侵攻とダブルスタンダード – 「避難民」対応が映し出す不条理な世界 | 平野雄吾
【応答への方途】
ウクライナ侵攻を報じるマスメディアの荒涼たる砂漠にようこそ | 金平茂紀
「戦争の語り」と私たちの社会 – ウクライナと地続きのドイツで戦争の報を聞いて | 柳原伸洋
グレーゾーンの彼方 | 若林千代
【アンソロジー】
ウクライナ人の世界を知るための四文献 | 原真咲選・訳