生ける物質 アンリ・ベルクソンと生命個体化の思想

141512

[2022年6月/四六H/327頁/] 
著=米田翼 
発行=青土社


目次:
序 章 生ける物質
はじめに – 地球生物学から宇宙生物学へ
1 創造的進化論の受容と忘却 – 本書の目的
2 ベルクソンの方法と形而上学 – 本書の方針
3 持続と有機的組織化 – 『意識の直接与件についての試論』における組織化・個体化
4 真の進化主義と有機的組織化 – 『創造的進化』における組織化・個体化
5 本書の構成

第一章 創造と世界 – イギリス創発学派のベルクソン解釈を手がかりに
はじめに
1 トンケデックによる創造概念の解釈
2 1920年代の初期創発主義者に対するベルクソンの影響
3 ロイド・モーガンとベルクソン
4 アレクサンダーとベルクソン

第二章 生物とは何か – 個体性と老化の問題
はじめに
1 『創造的進化』における個体論と老化論の位置づけ
2 有機体はいかなる意味で無機物とは異なるのか – 個体性の肯定的規定の明確化
3 『創造的進化』におけるル・ダンテクへの言及
4 ル・ダンテクの個体論と老化論
5 ベルクソンの個体論と老化論の再構成
補遺 自然死と事故死

第三章 何が個体発生を導くのか – 個体性と遺伝の問題
はじめに
1 『創造的進化』における獲得形質の遺伝をめぐる問題
2 ヴァイスマンの生殖質説
3 ベルクソンの遺伝論(1) – 獲得形質の遺伝批判と偏差の遺伝モデル
4 ベルクソンの遺伝論(2) – 系統発生論の観点から
5 遺伝、老化、個体

第四章 ミクロな世界で蠢く生物たちの自由 – 個体性と行動の問題
はじめに
1 生命の現在と生命の記憶力 – 個体・老化・遺伝の関係を見定める
2 生体と外界の一般的関係
3 生体と外界の個別的関係 – ジェニングスの行動生物学、あるいは『物質と記憶』
4 行動の多重因果性

第五章 適応と再認 – 種レベルの習慣形成の運動としての組織化・個体化
はじめに
1 進化の原因は何か?
2 受動的適応概念を再考する
3 能動的適応概念を再考する
4 適応と再認 – あるいは習慣形成の二つの水準

第六章 自然における意識の位置づけを問い直す – 心的活動の進化と組織化の諸相
はじめに
1 階層的・序列的な自然観の形成 – ロマネスからロイド・モーガンへ
2 二つの進化観 – ロマネスの単線的進化とベルクソンの分岐的進化
3 創造的進化論 – ベルクソンの分岐的進化観と意識の二重化の運動
4 ベルクソンの進化論 – 組織化・個体化の観点からの再構成

第二章から第六章までの総括

第七章 鳴り止まない生命と宇宙の交響曲 – 持続の一元論・現実主義・成長宇宙説
はじめに
1 存在者を構成する素材(持続)の一元論 – 持続の緊張と弛緩
2 現実主義 – 無秩序と無の観念に対する批判を通して
3 成長宇宙説 – 地球外生命体に関する思考実験を通して

補論(1) 時空、決定、創発 – アレクサンダーの時空の形而上学について
はじめに
1 時空論 – 諸事物を構成する究極的実在について
2 カテゴリー論 – 諸事物の普及的特徴について
3 創発論 – 諸事物の可変的特徴について
4 結びにかえて

補論(2) 個体化の哲学における生殖の問題 – シモンドンの場合
はじめに
1 シモンドンとベルクソンの個体化論
2 結晶の成長
3 生命系の機能的二元性 – 成長・内的発生と生殖・外的発生
4 シモンドンのヴァイスマン批判 – シゾゴニー、再生、環境の変調
5 結びにかえて

あとがき

在庫状態 : 在庫有り
¥3,520(税込)
数量