1970年代文化論
[2022年8月/四六判/284頁/]
《青弓社ライブラリー》
編/著=日高 勝之 発行=青弓社
目次:
序 章 みえにくい1970年代
| 日高勝之
1 〈政治の季節〉とバブルの時代のはざま
2 1970年代の一筋縄ではいかない複雑さ
3 本書の構成と問題設定
第1部 家族・若者・中高年
第1章 「からかい」からみる女性運動と社会運動、若者文化の七〇年代
– 雑誌「ビックリハウス」におけるウーマン・リブ/フェミニズム言説を通じて
| 富永京子
1 1970年代の若者と政治
2 若者文化の媒体としての「ビックリハウス」
3 「ビックリハウス」は女性運動をどのように受容したのか
4 相対主義的価値観と構造的格差の不可視化
第2章 家族とテレビドラマの1970年代
– 「ホームドラマ」から「反ホームドラマ」への転換とその背景
| 米倉 律
1 テレビドラマ史のなかのホームドラマ
2 反ホームドラマの登場
3 1970年代の家族の「両義性」
4 「お茶の間」の解体とテレビ視聴の個人化
第3章 「司馬史観」への共感とポスト「明治百年」
– 「教養主義の没落」後の中年教養文化
| 福間良明
1 1970年代と司馬ブーム
2 「教養」としての「余談」
3 高度経済成長後の社会とビジネスマンの読者
第2部 政治・性・マイノリティ
第4章 大島渚と蓮實重彦 – 反時代・フランス・マゾヒズム
| 日高勝之
1 反時代・反政治・反制度 – 連合赤軍事件と三島事件との遭遇
2 「フランス」の威権と効用
3 マゾヒズムと1970年代
第5章 太田竜 – ポスト新左翼の「革命」とアイヌ民族運動の胎動
| 藤巻光浩
1 アイヌ革命論とアイヌ解放同盟
2 革命の季節の到来と決裂
3 太田にとっての「アイヌモシリ」
4 アイヌにとっての「アイヌモシリ」
5 太田にとってのアイデンティティの季節
第6章 東郷健 – マイノリティ・ポリティクスとアートの不都合な関係
| 長﨑励朗
1 「おかま」の政治演説
2 美輪明宏と東郷健 – セクシュアル・マイノリティをめぐる芸術と政治
3 「The Gay」とその時代
4 雑民の会と当事者性
5 1970年代が提示した課題
第3部 国家・地方とメディア
第7章 テレビが媒介するナショナルな時空間の編成
– NHK『新日本紀行』を中心に
| 米倉 律
1 『新日本紀行』の誕生
2 「想像の共同体」としての「地方=故郷」
3 変化する「故郷」へのまなざしの両義性
4 ナショナルな“国土像”と単一の時空間の編成
第8章 四畳半テレビ – CATVとビデオ・アートが夢見た「コミュニティメディア」
| 飯田 豊
1 二つの「情報コミューン」 – ポスト大阪万博、ポスト七〇年安保のプロジェクト
2 テレビの民主化 – 「コミュニティビデオ」の思想と実践
3 CATVとビデオ・アートの交差点
終 章 「癒合」の時代 – 1970年代のリアルと現代性
| 日高勝之
1 ポスト〈政治の季節〉と多様なアクターの交錯
2 新左翼の1970年代 – 地方、マイノリティ、メディア
3 日本の新左翼の「生の感覚」
4 島耕作、サヨク、スキゾ
5 新自由主義と個の自由
6 新自由主義、新左翼、ポストモダン、戦後民主主義
7 「癒合」の時代 – 1970年代のメタプロセス
8 21世紀と1970年代 – ウィズ/ポスト・コロナの時代から考える
あとがき | 日高勝之