映画のまなざし転移

142023

[2023年2月/四六判/457頁/]
著=斎藤環
発行=青土社

目次:
はじめに

I 映画のまなざし転移100

1 近代・土着・媒介者/2 二つの無限/3 混沌から浮上する追悼と祈り/
4 ヒーローはいかに治癒するか/5 映画とは「女の一生」のことである/
6 私たちは「希望の国」に生きている/7 おしゃべりな超自我、寡黙なタナトス/
8 「承認の物語」は終わらない/9 成熟と“再選択”/
10 アメリカ的正義、あるいは“顔”の回避/11 信仰のアレゴリー/
12 あの日からの「遺体」に何を学ぶか/
13 ジャンゴとリンカーンあるいは“映画”への固執/14 戦闘美少女はすれ違う/
15 “幽霊の唯物論”から“映画の唯物論”へ/16 “少女”は“零戦”よりも美しい/
17 パシフィック・リムの「失敗の本質」/18 そして父になる/
19 危険な「文学」と安全な「映画」/20 禁煙と公共性/
21 重力と野心、空気と理想/22 ノスタルジーとしてのヘアスタイル/
23 私は亡霊の声を聞いた/24 性関係の存在証明/
25 ポリフォニーがもたらす新しい言葉/26 暴力〈と〉暴力、個人〈と〉社会/
27 誰が「父」を殺すのか/28 ゴジラと憲法/29 映画が私を見つめ返す/
30 裏声の身体性/31 滅びゆく「宙吊り」の美学/32 重力とヒューマニズム/
33 抑圧の構造と子どもの領域/34 “喪失”の後にこそ「関係」が残る/
35 “価値の恒常性”を試されること/36 「屈辱」と「成長」/
37 長い追悼の終わり/38 「愚かしさ」のための文法/
39 「存在」はスキャンできない/40 逃げる男、巻き込む女/
41 「純粋欲望」の華やぎと空虚/42 贋作者のアウトサイダー/
43 「原罪」を巡る実験/44 包摂の不条理/45 幽霊はどこにいる/
46 証言としての狂気/47 「発砲禁止地域」のランボー/
48 「ないものを与える」ということ/49 視覚から五感を取り戻すために/
50 暴力・顔・そして倫理/51 笑いより対話を、禁忌よりも規範を/
52 成熟と序破急/53 悲劇に抗うナラティヴの力/54 「片隅」のポリフォニー/
55 中上健次の風景/56 福祉と家族のあいだ/
57 見える「愛」、見えない「美」/58 感情化する社会に抗して/
59 きっとあの地には円盤が飛来している/60 尊厳は祈りでも理想でもない/
61 「名を取り戻す」ということ/62 「物語」には時間が必要だ/
63 「家族」は「原罪」を緩和するだろうか?/
64 「人間の条件」としてのマイノリティ/65 限界のないもの/
66 ノーランの三つの時間/67 彼らが「人間」になるとき/
68 アニメーションの唯物論/69 不確かさに耐えること/
70 差別が生んだ「密室」の惨劇/71 「正義」の断念から、対話がはじまる/
72 「政治的正しさ」の有限性/73 思想なく、信念なく、使命なく/
74 家族に「絆」は必要だろうか?/75 「負の歴史」といかに向き合うか/
76 ゾンビは何を象徴するか/77 「精神医学」とは別の仕方で/
78 「顔」は自分の中の他者/79 「多様性」とは別の形で/
80 映画は「存在」に奉仕する/81 この視点は誰のものか?/
82 春樹を反転させること/83 「ポリコレ」では守れない尊厳/
84 「入れ子」が暴く「内なる差別」/85 隣人への善よりはじめよ/
86 信仰はいかに鍛えられたか/87 「享楽」殺人者は対話する/
88 愛とともに、愛なしで/89 タランティーノのナラティヴ・セラピー/
90 「現象としての悪」の触媒/91 家族に「真実」は必要か/
92 片隅にこそ宿る「現実」/93 共感のまなざし転移/
94 「格差の消費」に抵抗する映画/95 「自立」と「依存」を巡る逆説/
96 「裡なる分断」と向き合うこと/97 「弱さの共有」としてのケア/
98 息もできない世界/99 断絶と崩壊の思春期/100 希望の共有のために


II 読む、映画/その他の映画批評

101 すべての男性が観るべき映画/102 皮膚と鏡像/
103 エイリアンにトラウマはない/104 自由こそが治療だ!/
105 私たちの未来の死者/106 すべての男は“監督失格”である/
107 「世界」を救うために何を差し出すべきか/
108 不可視の敵、沈黙のヒーロー/109 ただサラ・スタルジンスキのためでなく/
110 「呪い」と「祈り」のはざまで/111 アスペルガー・ヒーローの時代/
112 「身体性」の復権/113 踊る母、笑う息子/114 代用品の「悲しみ」/
115 果たせなかった約束のために/116 「恋愛童話」の専制に抗して/
117 キスのある風景/118 名前のない不思議な現象/
119 関係することのエロス/120 脳は「社会」とともにある/
121 狂気の種子と「女性」の謎/122 カスパー・ハウザーとは誰か?/
123 サブカルチャーとともに大人になること/124 「末期の目」にも似た自意識/
125 境界性のミーム、あるいは輪郭と旋律はいかに抵抗したか/
126 トラウマ・時間・エントロピー/127 「映画という謎」の分有/
128 皮膚の映画、あるいは壊乱するメタ世界/129 「界面」と「他者」/
130 トム・クルーズと自己神話化


あとがき

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