残されたものたちの戦後日本表現史 グローバル資本主義時代の種を超えた連帯

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[2023年2月/四六判/289頁/]
著=山本昭宏
発行=青土社


目次:
はじめに 「残されたもの」としての世界

第1章〈異形〉は語る – 水木しげると「傷痍復員兵」
傷痍復員兵による廃墟ビル占拠/戦後社会と「傷痍軍人」/
占拠事件の顛末/水木しげるの来歴/
トーライ族との出会い/貧しい美大生から水木荘の管理人へ/
紙芝居と貸本漫画/「異形なる者の帰還」という主題/
貸本戦記漫画でのこだわり/都市と「ルンペン」と鬼太郎/
霊・商品・戦死した戦友/悪魔くんの「呪詛」と「革命」/
社会変革の夢と現実/国家を「占拠」する子どもたち/
石川三四郎との接点/夢想と現実/


第2章 植民地主義と「亡霊的」記憶 – 加藤泰・大島渚・高倉健
「敗戦国の亡霊」/知ってはいるが受け止められない/
映画『男の顔は履歴書』/復員兵と朝鮮人の「皇軍兵士」/
民族性と敵対性/1948年8月という時間/
関係の非対称性/亡霊的記憶への「外科手術」/
高倉健と映画『ホタル』/異質な特攻隊映画/
「イデオロギー過剰」との批判と90年代の保守論壇/


第3章 回帰する被爆の記憶 – 中沢啓治の「怒り」のゆくえ
幽霊たちの場所/中沢の来歴と「ゲン」以前/
母親の死と激しい怒り/「黒い」シリーズの定型/
編集者・長野規の「戦争調査」/「平和」への違和と女性の怒り/
「ゲン」の体験と中沢の体験/被爆直後の「見捨て体験」/
顔の反復/身代わりの赤ん坊/
『はだしのゲン』の現代的意義/歴史と疑似的なトラウマ/


第4章 「不条理空間」と「記憶空間」 – 別役実・大林宣彦
「ヒロシマ」へのふたつのアプローチ/
ケロイドを見せたがる男/社会化を拒む個性/
モデルとしての吉川清/
戦後思想批判 – 磯田光一と吉本隆明/
「マクシミリアン博士の微笑」/
ケロイドの美しさとは何か?/
別役実の「不条理空間」/大林宣彦の「反戦平和」/
「記憶空間」と「シネマゲルニカ」/歴史と記憶の館/
岡本喜八との接点/ふたつの空間と「居心地の悪さ」/


第5章 残された者と共同体 – 高畑勲の「啓蒙的理性」
『太陽の王子 ホルスの大冒険』と共同体の理想/
「民衆的な英雄像」と脱色された「日本」/
『火垂るの墓』における演出と問題意識の乖離/
死者のまなざしと「日本人」/
〈民族〉と〈抗日〉/思い出のなかの共同体/


第6章 経験を持たない者たちの戦争 – こうの史代と共感のテクノロジー
現代における被爆の記憶/
マンガ『夕凪の街 桜の国』の「さりげなさ」/「共感」のテクノロジー/
「さりげなさ」の要因/青年誌というメディア、表現の自主規制/
映画『夕凪の街 桜の国』の「リアリティ」/「原爆映画」の系譜から/
被爆地蔵の「リアリティ」/メディアの移行にみる継承と断絶/
「桜の国」のラストシーンの比較から/
タイムスリップ演出と「昭和ノスタルジー」ブーム/戦争の語りを紡ぐ/


おわりに 過去の作品を読むことの意味

あとがき

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