「人新世」の惑星政治学 ヒトだけを見れば済む時代の終焉
[2023年6月/四六判/352頁/]
著=前田幸男
発行=青土社
目次:
まえがき
序章 「人新世」の政治的リアリズム-惑星思考の鍵を握る人智圏と感受性
1 「人新世」の衝撃を振り返る-全球的秩序をめぐって
2 惑星思考への接続
3 「人新世」に先行する議論-「人智圏」
4 なぜ感受性なのか-共存する全体性へのバランスの感覚
第I部 「人新世」の惑星政治学
第1章 惑星政治とは何か-人新世時代の脱人間中心主義に向けて
はじめに-批判的国際関係論の先にある惑星政治
1 「人新世」時代とは何か
2 「人新世」概念への批判に応答する
3 政治学・国際関係論における暗黙の前提の問い直し
4 多重絶滅の危機の時代
5 批判的地政学の新展開-気候変動問題を通した地政学の刷新
6 人間中心主義的アプローチの組み換えへ
7 新しい形の連帯は可能か?-気候変動の危機に向けた国際的取り組みの現実
8 技術的応急措置の限界
おわりに-惑星限界を前にして
第2章 国際政治学はマテリアル・ターンの真意を受けとめられるか?
-多重終焉の黄昏の中で
はじめに
1 マテリアル・ターンとは何か?
2 確かに終焉なのだ、しかし何の?
3 リアリズムのリバイバル?
4 ジオ・パワーに基づいた新しい地政学へ
おわりに-日本からの応答?
第3章 領土と主権に関する政治理論上の一考察
-暴力、人民、国連をめぐるアポリアに抗して
はじめに
1 領土
2 主権
おわりに-揺らぐ領土概念と主権概念の中で平和を創ることとは
第4章 石油から見る惑星限界の系譜学-ヒトとモノによる世界秩序
はじめに
1 化石燃料から捉え直す世界秩序
2 石油の呪い再
3 重要なのは化石燃料の物質特性だ
4 石油の「安定的確保」のための統治の諸技法
5 石油が示す四重の越境線
6 惑星限界問題への接続-石油需給問題と気候変動問題の交差
おわりに
第II部 ノン・ヒューマンと共に生きる-生命の序列化を超えて
第1章 構造的暴力論から「緩慢な暴力」論へ
-惑星平和学に向けた時空認識の刷新に向けて
はじめに-ヨハン・ガルトゥング「構造的暴力」概念の限界
1 「平和でない状態」≠構造的暴力の中にいる状態
2 ガルトゥング暴力論の射程としてのヒト
3 「緩慢な暴力」とは何か
4 「緩慢な暴力」を捉えるための惑星平和学という枠組み
5 人類による化石燃料の獲得・使用に由来する「緩慢な暴力」
6 「緩慢な暴力」論を通した時空認識の刷新へ
7 「緩慢な暴力」進行に対抗するための時空論的視座
おわりに-マテリアルな状況変化に平和学はどう向き合うか
第2章 ノン・ヒューマンとのデモクラシー序説
-ヒトの声だけを拾えば済む時代の終焉へ
はじめに
1 自由民主主義の機能不全
2 リベラルの根深い問題-人間例外主義/人間偏重主義というバイアス
3 ヒトが媒介するエコロジカルな民主主義
4 ノン・ヒューマンの「声」-非言説的代表とは何か
5 政治的主体としてのノン・ヒューマンへの注目
6 ノン・ヒューマンの権利保障を謳う立憲主義的デモクラシー
おわりに-ノン・ヒューマンとの戦争から政治への転換
第3章 脱人間中心のガイア政治-リスクとしての人間とポストSDGsへ
はじめに
1 「認識の欠落」に関わる三つのリスク
2 ガイアとは何か?
おわりに-リスクへの対処か、ガイアとの政治か
第4章 人新世のアナーキカル・ソサイエティ-ノン・ヒューマンとの
戦争論として読み解く「持続可能な開発目標」
はじめに
1 言葉の意味の二重性-自然と開発
2 四つの異なる存在論-世界、グローバル、地球、惑星
3 戦争を糸口としてSDGsを理解する-持続可能性ではなく生息可能性から
4 「ガイアとの交戦状態」の意味
5 ヒトか「大地に根差すもの」か-ホッブズとシュミットのガイア的活用法
6 「人新世のアナーキカル・ソサイエティ」
7 「大地の多様性」が支える「生物多様性」
8 人新世における「解放」-いかなる主体が可能なのか
おわりに
第5章 ノン・ヒューマン(と)の平和とは何か
-近代法体系の内破と新たな法体系の生成へ
はじめに-「気候変動と21世紀の平和」プロジェクト立ち上げの経緯
1 平和学にとっての人新世の意味-バイオームとアンスローム
2 脱炭素/低炭素社会に向けた採掘という「緩慢な暴力」
3 地球という惑星から考える「複数の文化・複数の自然」の平和
4 ノン・ヒューマンが生み出す動的平衡-「山川草木悉皆成仏」の視座から
5 近代法体系変容の兆し
6 何がラディカルな近代法体系変容の鍵を握るのか
おわりに-結局、センス・オブ・ワンダーが人類を救う
あとがき-研究、教育、そして実践へ