フキダシ論 マンガの声と身体

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[2023年6月/四六判/288頁/]
著=細馬宏通
発行=青土社


目次:


第一部 フキダシにどう向かうか
三項関係と関係分析
関係分析の試み-手塚治虫・酒井七馬『新宝島』
独り言、内言-藤子不二雄A『まんが道』
環世界を視覚化する-ユクスキュル、クリサート『生物から見た世界』
マンガは環世界の変化を視覚化する-くらもちふさこ『天然コケッコー』
ゆるやかな規則とそこからの逸脱
読み流せないこと-こうの史代『夕凪の街』

第二部 作品論
第一章 話者はどこにいるのか
1 話者を探す-藤子・F・不二雄『ドラえもん』
2 話者の不在-吾峠呼世晴『鬼滅の刃』

第二章 環世界のなかの三項関係
3 三項関係の速さ-宍戸左行『スピード太郎』
4 「あ」の対象-樺島勝一・織田小星『正チャンの冒険』宍戸左行『スピード太郎』大城のぼる『汽車旅行』
5 隠される対象-手塚治虫・酒井七馬『新宝島』
6 「オーイ」の聞き手-田河水泡『のらくろ』宍戸左行『スピード太郎』手塚治虫・酒井七馬『新宝島』
7 環世界を係留するものたち-手塚治虫・酒井七馬『新宝島』

第三章 対象の描き方
8 スリップする紙片-藤子不二雄A『まんが道』藤本タツキ『ルックバック』
9 対象のそばのフキダシ-白土三平『忍者武芸帳 影丸伝』
10 話者と対象の揺れ-高橋葉介『腹話術』
11 料理を語る声-牛次郎・ビッグ錠『包丁人味平』
12 紙の上の調理-ラズウェル細木『酒のほそ道』
13 複数の機能を担うフキダシ-オノ・ナツメ『リストランテ・パラディーゾ』

第四章 聞き手の拡がり
14 ゆうれいの声-赤塚不二夫『もーれつア太郎』
15 フキダシは誰にきこえているか-高橋留美子『めぞん一刻』
16 はみだすフキダシ-志村貴子『放浪息子』
17 宛先を誤読する-尾田栄一郎『ONE PIECE』
18 声と手話の時間-大今良時『聲の形』

第五章 内言と語り
19 コマに放たれる内言-水木しげる『河童の三平』
20 フキダシの消失と再生-樹村みのり『こうふくな話』藤本タツキ『ルックバック』
21 内言の多層化-ろびこ『となりの怪物くん』
22 フォントの横溢と分岐-羽海野チカ『3月のライオン』
23 語りを破る声-楳図かずお『漂流教室』『神の左手悪魔の右手』『おろち』

第六章 視覚装置の視認
24 フキダシに気づく-宍戸左行『スピード太郎』手塚治虫・酒井七馬『新宝島』
25 テレパシーのマンガ表現-手塚治虫『来るべき世界』
26 無声伝心の法-白土三平『忍者武芸帳 影丸伝』
27 内言を読む人-遠藤達哉『SPY×FAMILY』
28 別のコマを見る-三原順『はみだしっ子』
29 マンガの直接話法-高橋真琴『パリ〜東京』
30 沈黙と饒舌-ヤマザキマリ、とり・みき『プリニウス』

第七章 フキダシの産み出す環世界
31 フキダシの作る奥行き-田河水泡『のらくろ』
32 フキダシの3D空間-大童澄瞳『映像研には手を出すな』
33 花とフキダシ-美内すずえ『ガラスの仮面』
34 触覚的内言-高橋真琴『さくら並木』
35 韻と漫符-こうの史代『ギガタウン 漫符図譜』

付 論 画中スピーチの歴史

あとがき

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