動物×ジェンダー マルチスピーシーズ物語の森へ
[2024年2月/A5/242頁/]
《神奈川大学人文学研究叢書》
編/著=村井 まや子/ 熊谷 謙介
発行=青弓社
目次:
序 文 マルチスピーシーズ物語の森のマッピング | 村井まや子/熊谷謙介
第1部 記された〈動物〉と〈性〉
第1章 共苦による連帯とその失敗
-大江健三郎「泳ぐ男」における性差と動物表象の関係を手がかりに | 菊間晴子
1 大江作品にみられる動物表象
2 想像力の挫折の物語としての「泳ぐ男」
3 女性の犠牲者に対するまなざし
4 動物としての男性
5 非‐動物としての女性
6 共苦から生まれる動物との連帯
7 共苦する想像力、その限界と暴力性
8 「わからなさ」の先の共同性
第2章 多和田葉子の動物演劇の試み
-『夜ヒカル鶴の仮面』から『動物たちのバベル』へ | 小松原由理
1 両テクストにおける動物の役割
2 言葉遊びから始まる-人間と動物の「重なり」
3 「穴アキ(ルビ:アナーキー)演劇」として?-動物演劇のアンガージュマン
第3章 皮膚感覚的快楽の果てをめざして
-松浦理英子『犬身』論 | 熊谷謙介
1 熱い触れ合い-『犬身』前後
2 人間―犬―狼の異種間コミュニケーション
3 スキンシップと性的快楽のあわい
第4章 マルチスピーシーズ・フェアリーテール研究序説 | 村井まや子
1 ATUインデックスと人間中心的バイアス
2 「マルチスピーシーズ・フェアリーテール」の分類法
3 マルチスピーシーズ・フェアリーテール・ライブラリー
第2部 多様な種の文化表象へ
第5章 銃を持つダイアナ
-二十世紀転換期アメリカにおける狩猟とジェンダーをめぐる言説 | 信岡朝子
1 狩猟する女性の「発見」
2 アメリカの祖先としてのハンター
3 文明的な狩猟の創造
4 安全装置としての女性ハンター
5 象を撃つダイアナ-デリア・エイクリーの狩猟記
6 男性らしい(manly)白人女性の自意識
第6章 オーストラリア児童文学におけるアボリジナル文化
-精霊の表象を手がかりに | 鈴木宏枝
1 パトリシア・ライトソンの試み
2 スー・マクファーソン-共生と抱擁
第7章 モクモク村のQちゃん
-「野性」と「男性性」のクィア・リーディング | 菅沼勝彦
1 『モクモク村のけんちゃん』
2 セジウィックと「クィア・パフォーマティヴィティ」
3 けんちゃんと魔王の男性性
4 モクモク村のQちゃん
5 「クィア・パフォーマティヴィティ」と「フェロックス」の実践
第8章 ワクチンとしての物語
-章夢奇のドキュメンタリー作品における女性の語りを手がかりに | 秋山珠子
1 幼女たち
2 少女たち
3 老女たち