無能と失敗の社会学
[2024年5月/四六H/360頁/]
著=小谷 敏
発行=高文研
目次:
プロローグ 無能ということ-愚行と失敗に覆われる世界
第1章 「すること」から「であること」へ-丸山眞男の憂い
1 「丸山眞男連続殴打事件」考
2 「であること」と「すること」を読む
第2章 七月八日の銃声-「お友だち政治」の果てに
1 「老害」と「世襲」-新しい芽を摘み取る者
2 忖度、自発的隷従、上級国民-「クローニー・ポリティクス」の起源と流行
3 七月八日の銃声-「お友だち政治」の果てに
第3章 恫喝と冷笑-「声」を圧し潰す力
1 「来た時よりも美しく」-日本庶民の美質と限界
2 「分際をわきまえろ!」-ゾンビ儒教主義者の恫喝
3 冷笑する文化英雄-シニカルな日本の私
第4章 明仁が丸山を読む-「象徴」とは何か
1 昭和天皇が象徴したもの
2 敗戦後日本の精神的空洞-あるいは「内的自己」と「外的自己」の分裂について
3 明仁が丸山を読む-「象徴」とは何か
第5章 「訓練された無能力」はその来歴を語りうるか
1 マートンと「官僚制の逆機能」-「訓練された無能力」との出会い
2 アメリカンドリームの闇-ソースタイン・ヴェブレン
3 ヴェブレンからバークへ-「訓練された無能力」の二つの形
第6章 日本の「訓練された無能力」-後ろ向きにしか進めない国
1 町人国家の繁栄-高度経済成長期からバブルへ
2 経済の奈落へ-「失われた一〇年」
3 後ろ向きにしか進めない国-日本政治の訓練された無能力
第7章 勉強のできる愚か者が世界を滅ぼす-暴走するメリトクラシー
1 心理学と優生思想のディストピア-メリトクラシーの逆説
2 教育が分断する世界-二〇一六年の騒擾
3 頭のいい愚か者が世界を滅ぼす-暴走するメリトクラシー
第8章 日本における驕りと屈辱の諸相について-メリトクラシーの機能不全
1 メリトクラシーの機能不全-日本社会の現状
2 学歴エリートたちの「傲慢と偏見」
3 親ガチャ・貧困の文化・労働の承認-「屈辱」を和らげるもの
4 「日本版絶望死」の方へ
第9章 『失敗の本質』から何を学ぶか-日本的組織の病理
1 『失敗の本質』はなぜ書かれたのか
2 賢い人たちがなぜ間違うのか-「集団浅慮」を生み出すもの
3 日本的組織の「訓練された無能力」-『失敗の本質』から何を学ぶか
第10章 オリンピック、パンデミック、ジャニーズ-「崩壊の時代」の諸相
1 「崩壊の時代」とは何か?
2 祝賀資本主義がやって来た!-オリンピックの崩壊
3 パンデミックもやってきた!-医療と行政の崩壊
4 ジャニー喜多川の「性加害」-芸能とメディアの崩壊