SMの思想史 戦後日本における支配と暴力をめぐる夢と欲望
[2024年5月/四六判/408頁/]
著=河原 梓水
発行=青弓社
目次:
はじめに
第1部 史料論-戦後風俗雑誌研究序論
序 章 問題の所在と本書の視角
1 問題の所在
2 研究方法
3 時期区分
第1章 第一世代雑誌-「奇譚クラブ」「人間探究」「あまとりあ」
1 「人間探究」「あまとりあ」
2 「奇譚クラブ」
3 戦後風俗雑誌の共通点
4 「科学的」研究と当事者研究
第2章 第二世代雑誌と弾圧-「風俗草紙」以後
1 「風俗草紙」とその模倣誌たち
2 「風俗科学」
3 専門誌の価値
4 雑誌同士、執筆者同士の関係
5 弾圧と廃刊
6 弾圧以後-「裏窓」の創刊
第2部 善良な市民になる
第3章 病から遊戯へ-サディズムの近代化・脱病理化
1 サディズム・マゾヒズム概念の輸入と定着
2 フェミニストなサディスト
3 吾妻新によるサディズムの近代化論
第4章 〈告白〉という営み-セクシュアリティの生活記録運動
1 〈告白〉に対する二つの態度
2 〈告白〉とフィクションと真実
3 〈告白〉が描こうとしたもの
4 近代的主体になる
第5章 吾妻新と沼正三のズボン・スラックス論争
1 論争の経緯
2 ズボンの意義-村上信彦の女性論・服装論から
3 裏返しの拘束衣-ズボンの性的活用
補論1 作家の実名(1)吾妻新(村上信彦)-戦後の民主的平等論者の分身
1 テキスト比較
2 村上信彦にとっての吾妻新と「奇譚クラブ」
第3部 社会に抗する思想
第6章 マゾヒズムと戦後のナショナリズム-沼正三「家畜人ヤプー」
1 男性主義的エリート・沼正三
2 マゾヒズムと女性蔑視
3 理想郷
補論2 作家の実名(2)沼正三(倉田卓次)-『家畜人ヤプー』騒動解読
1 問題の所在
2 個人情報の比較
3 『家畜人ヤプー』騒動と共同筆名説
4 『家畜人ヤプー』騒動はなぜ起きたか
第7章 家畜の生と人間の身体-土路草一「潰滅の前夜」「魔教圏No.8」
1 「家畜化小説」の登場
2 最初の家畜、最後の家畜
3 小説の構造
4 家畜への道程
5 唯一の生
第8章 近代性を否定する-古川裕子「囚衣」とマゾヒストの愛
1 吾妻新と古川裕子
2 「夜光島」という思考実験
3 ユートピアの成立
4 マゾヒストの愛
5 近代性の要求と免罪
おわりに
あとがき