「ビックリハウス」と政治関心の戦後史 サブカルチャー雑誌がつくった若者共同体
[2024年7月/四六H/332頁/]
著=富永京子
発行=晶文社
目次:
『ビックリハウス』ギャラリー
はじめに
第1部 日本人は政治と社会運動に背を向けたのか?-問題意識・先行研究・方法と事例
1 消費社会と私生活主義は日本人を政治から遠ざけたのか?-問題意識
1-1 消費社会と私生活主義
1-2 60-80年代における社会意識と政治参加の動態
1-3 私生活主義と政治への忌避を代表する存在としての「若者」
1-4 本書の構成
2 「雑誌の時代」と『ビックリハウス-先行研究
2-1 なぜ雑誌なのか-読者共同体の緊密なコミュニケーション
2-2 私生活と公的関心の入り交じる場としてのサブカルチャー雑誌-『面白半分』『話の特集』『宝島』
2-3 政治性・対抗性を「見過ごされた」サブカルチャー雑誌『ビックリハウス』
3 事例、方法、分析視角
3-1 事例-雑誌『ビックリハウス』
3-2 方法-雑誌の計量テキスト分析と内容分析
3-3 分析視角-戦争、女性、ロック
第2部 戦後社会の価値変容-戦争経験、ジェンダー、ロックの視点から
4 語りの解放と継承のずれ-「戦後」から遠く離れて
4-1 70年代以降の反戦・平和運動と方法をめぐる是非
4-2 『ビックリハウス』における戦争の語り
4-3 「戦後」から遠く離れて
5 女性解放-運動がなしえた個人の解放、解放された個人への抑圧としての運動
5-1 同時代の雑誌上における女性表象の両義性
5-2 「個の解放」への真摯さと「性の解放」の挫折
5-3 解放の過程にある女性たち
6 「論争」から「私的」へ-みんなで語るそれぞれのロック
6-1 『宝島』と対抗文化としてのロック
6-2 『ビックリハウス』はロックをどう「論争」したか
6-3 「人それぞれ」の読者・編集者共同体
第3部 みんなの正しさという古い建前、個人の本音という新しい正義
7 社会運動・政治参加-規範と教条主義に対する忌避・回避
7-1 政治への関与を辞さないサブカル雑誌
7-2 『ビックリハウス』の政治関心
7-3 「べき」への忌避、「主体性」の尊重、「共同体」の隘路
8 「差別」が率直さの表明から不謹慎さを競うゲームになるまで
8-1 マイノリティへの本音という対抗の実践
8-2 『ビックリハウス』におけるマイノリティと差別
8-3 表現規制へのカウンターから過激さの競争へ
9 自主的で主体的な参加の結果、「政治に背を向けた」共同体
9-1 若者の生の声としての『ビックリハウス』
9-2 若者の主体性を歓迎する共同体としての『ビックリハウス』
9-3 「書くこと」がもたらした解放とその行方
10 意図せざる結果への小路-考察と結論
10-1 本書の知見がもつ普遍性
10-2 時代論・世代論への反論
10-3 「人それぞれ」を超えて
おわりに
付録 『ビックリハウス』頻出語リスト