アニメオタクとビデオの文化社会学 映像視聴経験の系譜

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[2024年9月/A5/280頁/]
著=永田 大輔
発行=青弓社


目次:
序 章 映像を趣味にする経験とビデオ技術
1 オタクとビデオの結び付き
2 アニメというファン領域
3 本書の分析資料
4 本書の構成


第1部 アニメを趣味にする条件とビデオ技術
第1章 ビデオのファン利用とオタクという主体
1 本書の問いをめぐる議論の配置
2 オタクとビデオの関連性について
3 ビデオを取り扱うことの意義づけ
4 ビデオをめぐるメディア論的視点
5 アニメという対象


第2章 ビデオにおける「教育の場」と「家庭普及」
-1960年代後半-70年代の業界紙「ビデオジャーナル」にみる普及戦略
1 ビデオ受容をめぐる諸議論
2 資料の特性
3 教育の場とビデオ
4 「教育」と「家庭」の間
5 結論


第3章 「テレビを保存する」ことと読者共同体の形成
-アニメ雑誌「アニメージュ」を事例として
1 「テレビを保存するという実践の成立」と「新たなアニメファン」
2 「テレビを保存する」ことの前提条件
3 「テレビを録る」ということを軸とした読者共同体の形成


第2部 アニメが「独自の趣味」になる過程とビデオ技術
第4章 アニメ雑誌における「第三のメディア」としてのOVA
-1980年代のアニメ産業の構造的条件に着目して
1 本章で取り扱う分析資料
2 OVAをめぐる構造的条件
3 「第一のメディア」と「第二のメディア」
4 「第三のメディア」としてのOVA
5 結論


第5章 コンテンツ消費における「オタク文化の独自性」の形成過程
-1980年代のビデオテープのコマ送り・編集をめぐる語りから
1 「オタク文化の独自性」をめぐる先行研究・分析視角・分析対象
2 ビデオデッキの普及環境に関して
3 コマ送りが可能とする視聴実践
4 形成される相互循環
5 結論


第6章 アニメの制度化のインフラとしてのアニメ制作者の形成
-1970-80年代の労働規範に着目して
1 アニメーターの職務概要
2 分析枠組みと資料の分析上の位置づけ
3 アニメブーム期の労働を読み解く視点
4 制作者の労働規範の変容
5 結論


第3部 ビデオを通じて再定式化される「オタク」経験とアニメ文化
第7章 ビデオをめぐるメディア経験の多層性
-「コレクション」とオタクのカテゴリー運用をめぐって
1 「オタクの代表」の宮﨑勤
2 一九八九年時点のビデオの社会的配置と有徴性
3 「真のオタク」ではない宮﨑勤
4 変容するコレクションの意味論
5 結論-オタクが語られだす論理


第8章 ビデオ受容空間の経験史
-「趣味の地理学」と1980年代のアニメファンの経験の関係から
1 先行研究
2 コンテンツ受容空間と経験史
3 有徴な空間としてのビデオ店
4 レンタルビデオ店経験の両義性
5 ビデオ店利用の個別性


終 章 映像視聴の文化社会学に向けて
1 ビデオが開いた映像視聴経験とアニメファン
2 メディア文化にビデオ技術がもたらしたもの
3 コレクションのメディア論
4 子どもの民主主義とオタク文化-「共同視聴」の文化社会学に向けて


あとがき

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