他力という力 叛乱論終章
[2024年12月/四六判/256頁/]
著=長崎浩
発行=月曜社
目次:
はじめに
●絶対他力 パウロ
1 アジテーター・パウロ
他力に追い立てられて/信と信仰の分かれ目/
他力の根源へ/無である神/
2 神の信、イエスの信
呪われた死、贖罪/仲介者キリスト・イエス/
復活のイエス/霊の到来/
3 他力思想の非情
罪の国のわれら/神の国は近づいた/贖罪信仰/
神の子を身代金に/神は無力無関心/キリスト教信仰へ/
●弥陀からの光 法然
1 称名念仏の選択
阿弥陀仏の本願成就/立宗立党のマニフェスト/
顕密仏教体制に抗して/法然浄土教の党派性/
2 大願成就の無条件の信頼
衆生救済は決定済み/臨終正念・諸仏来迎は僻事/
絶対の阿弥陀仏/念仏行者のつとめ/
3 信の解放
不可視の光に照らされて/
超越と内在/護国仏教体制のほころび/法然教団の形成/
4 念仏衆の乱
信のタガを外す/信のアナーキー/七箇条制誡/
政治の三角関係/興福寺奏状 新宗を立つるの失/
新像を図する失/国を挙げて源空一門を糾弾せよ/流刑/
●仏性の時 道元
1 万草の花咲く仏性世界
青年僧/大疑団/存在論としての正法眼蔵/仏性という他力/
2 語るということ
破格の文体/ぎこちなく、見苦しく/この日本国の文体/
3 存在者の存在は仏性
悉有はすなわち仏性/仏性は経歴し現前する/
無の現前/無に形を刻む/
4 有時から仏性へ
ある時としての今/遍満する今の時/
仏性の現成/大いなる歓喜/
5 無常美観から仏性へ
無常文化/武者の世の到来/
無常から仏性へ/語句は念慮を透脱する/
6 仏性の開け
風に風鈴が鳴る/天も水も岸もみな舟の時節/
虚空に咲く華/有時かならず花果あり/
青山常運歩、石女夜生児/
●虚無の形 三島由紀夫-平野啓一郎『三島由紀夫論』によせて
1 『金閣寺』、観念的青春小説
同時代者、三島由紀夫/自意識の劇、絶対の探求/虚無としての金閣/
潔癖な肉/虚無とニヒリズム/最後の旅/
2 『鏡子の家』、みんな欠伸をしていた
一九六〇年という分かれ目/生きようとしないで生きる/
ヨーロッパのニヒリズム/鬱勃と能動的ニヒリズム/虚無の開示/
虚無に咲く花/文化の虚無とニヒリズム/詩の生まれる場所/
3 『英霊の声』、などてすめらぎは人間(ひと)となりたまひし
起死回生の作/そんなお方、もともとあらしゃらなかったのでは/
六八年の世界革命/楯の會の六八年叛乱/
4 『豊饒の海』、実に実に実に不快
祖国防衛隊構想/楯の會結成/政治も文学も/実に実に実に不快/
●能動的ニヒリズム ハイデガー -轟孝夫『ハイデガーの哲学』によせて
1 事件としてのハイデガー
研究と爆弾/四つの論点/
2 『存在と時間』は人生論か
世間への頽落/死への先駆的覚悟/決意し行動せよ/
世界の無へ臨む/ハイデガー哲学の政治的含意?/
3 神は死んだ、ヨーロッパのニヒリズム
存在の性起 神を人間に譲渡する/
能動的ニヒリズム/ヨーロッパの歴史の根本的運動/
4 技術への問いとマルクスの形而上学
近代技術と労働/労働の形而上学/技術的労働の疎外/歩く人/
5 反乱の憤激、一九三三
存在の問いの政治的含意/闘争共同体の火花/
下品で不愉快な連中/憤激の憤激/大学のナチ化/
6 アナクロナチズムの理念
農本的小共同体/疎外論革命/テクネ―としての労働/
超政治という反政治/まとめ/
●あとがきに代えて-真は信だと、アジテーターは語りかける
1 フーコーの哲学
真理の政治史/私の哲学/語る、聞く、記述する/言表の真と信/
2 アジテーターの遍歴史
真理の政治史へ/真=信の遍歴史/深い革命/アジテーター五人衆/