一九六八年と宗教 全共闘以後の「革命」のゆくえ
[2025年1月/四六H/390頁/]
編=栗田 英彦
発行=人文書院
目次:
序章 「近代主義を超えて」を超えて | 栗田英彦
一 「日本宗教史像の再構築」とポストモダニズム
二 ポストモダニズムと〈一九六八年〉
三 近代日本における「宗教」的条件
四 新左翼の源流へ-労農派・ファシズム・天皇制イデオロギー
五 「革命」の亡命先としての「宗教」
六 本書の目的-全共闘以後の「革命」のゆくえ
七 各部・各章の概要
第I部 一九六八年を捉え直す-芸術宗教・死者・ファシズム
第一章 安保・天皇制・万国博 | 絓秀実
一 安保闘争は存在したか?
二 吉田茂から岸信介へ
三 日本帝国主義の復活と一段階革命論
四 新左翼の天皇制ボナパルティズム論
五 天皇の戦争責任論へ
六 左派/リベラルによる天皇制擁護
七 芸術前衛としての反スターリン主義
八 アヴァンギャルドの滅亡
第二章 高橋和巳の全共闘運動と一九六八年前後 | 川村邦光
-未成へと向かう臨死者の眼
はじめに-孤立と憂愁のなかで
一 六七年一〇・八の「未完の模様」
二 自己否定の果て
三 生病死
四 臨死者の眼
五 未成の展望
おわりに-大衆と御詠歌の世界
第三章 橋川文三の「超国家主義」研究と折口信夫 | 斎藤英喜
-「ファシズムと異端神道」論・再考のために
一 橋川文三・全共闘運動・ファシズム
二 橋川文三の超国家主義研究と「宗教」
三 折口信夫と「ファシズム」
四 「橋川文三と折口信夫」という問題設定
五 折口信夫と「超国家主義」運動
六 昭和八年、「十人組徒党事件」
七 「大正維新」の精神構造
八 折口信夫「零時日記」を読む
九 「神性を拡張する復活の喜び」
一〇 昭和三年の大嘗祭と「天皇霊」
一一 異端神道と「鎮魂」の行法
一二 運動としての「ファシズム」再考のために
一三 「神、やぶれたまふ」のあとに
第II部 一九六八年から新宗教・ニューエイジ運動へ
第四章 神々の乱舞 | 武田崇元
-一九六八年革命と「民衆宗教」観の変遷
序論
第一期:呪術排撃と土俗蔑視 一九四五〜一九五三
小口偉一/佐木秋夫
第二期:眼差しの変化 一九五四〜
『教祖-庶民の神々』/六全協の影/戦後大本の「平和路線」/
村上重良の民衆宗教論/『大本七十年史』
第三期:土俗からの反撃 一九六八〜
邪宗門と『民衆宗教の思想』/梅原正紀と本願寺闘争
公害企業主呪殺祈禱僧団/「近代の超克」としての新宗教
第四期:神々の乱舞 一九八〇〜
結語
第五章 一九六八年の身体 | 鎌倉祥太郎
-津村喬における気功・太極拳
はじめに
一 「日常性批判」と浮かび上がる身体
二 津村喬における身体性の政治
三 西洋近代への批判と身体
四 身体の共同性
おわりに
第六章 革命的抵抗の技術と霊術 | 栗田英彦
-戸坂潤・田中吉六・太田竜
はじめに-技術論と一九六八年
一 戦後主体性論とトロツキズム-戦後社会運動史の盲点
二 『季刊理論』の革新的ナショナリズムと占領下抵抗
三 技術と霊術-一九三〇年代の唯物論研究会と日本主義哲学
四 一九四〇年の交差-三二年テーゼとコミンテルン第七回大会
五 田中吉六の主体的唯物論-一九三〇年から一九六八年へ
六 共産党時代の太田竜
七 五〇年代の太田竜と国際的トロツキズムの動向
八 六〇年安保闘争・核戦争・第三世界
おわりに-技術・霊術・戦争
第III部 一九六八年の宗教-キリスト教から考える
第七章 東大闘争における無教会運動の活動とその背景 | エイヴリ・モロー
はじめに
一 無教会における非暴力主義の源流
二 「流血回避・非暴力連帯」の創立までの経緯
三 「非暴力連帯」への反応
四 東大闘争の燃え尽きとクリスチャン・ネットワーク
結び-近代的な、あまりにも近代的な
第八章 観念と現実のはざま | 村山由美
-田川建三における大学闘争と宗教批判
はじめに-聖書学者=思想家としての田川建三
一 キリスト教系大学における全共闘運動
二 国際基督教大学における闘争
三 「何故私はここまでやったのか」-知識人としての田川
四 類比としてのイエス
五 宗教批判へ
六 立ちつくす知識人
七 表象されたイエスとどう向き合うのか
おわりに-田川建三のたじろぎから
第九章 日本基督教団の「一九六八年」 | 塩野谷恭輔
-万博をめぐる闘争から
一 はじめに
二 キリスト教の大阪万博参加と、反万博運動の勃興についての経緯
三 万博をめぐる神学-「にもかかわらず」と「主体」の在処
四 パウロ主義批判に見られる内在的批判について
五 「一九六八年革命」におけるキリスト教の反万博
終章 もうひとつの全共闘以後 | 栗田英彦
はじめに-社会運動論研究との接続
一 予示的政治と世界革命
二 新しい社会運動・政教問題・人権
三 敵対性と死の問題
おわりに-「あとがき」に代えて